よく診る整形外科の病気 群馬県吾妻郡中之条町の内科、整形外科、循環器内科、皮膚科、田島病院

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よく診る整形外科の病気

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ロコモティブシンドローム

日本は世界有数の長寿国であり、人生100年時代といわれるようになってきます。

しかし、実際の平均寿命と健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されたり、何らかの助けを必要としたりしている状態でない)との間には現在では10年程度のギャップが存在します。体が不自由な状態で10年を過ごすのではなく、人生において健康な、活発な生活状態(要支援・要介護のない状況)をすこしでも引き伸ばせる方向に進むことが望まれます。

しかし、要支援、要介護になる原因のトップは転倒、骨折や関節の病気など運動器の故障であることはあまり知られていません。

ロコモティブシンドローム

運動器(骨、関節、筋肉、神経)の障害のために移動機能の低下をきたした状態を 「ロコモティブシンドローム」=ロコモといいます。

ロコモが進行すると、将来介護が必要になるリスクが高くなります。
(出典:日本整形外科学会、ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト ロコモオンライン)

そして、実際の運動器の障害、移動能力低下の原因には変形性関節症や腰部脊柱管狭窄症、骨粗鬆症性の骨折などいろいろな病気が関わってきます。

腰部脊柱管狭窄症

足のしびれや痛みで長い距離を続けて歩くことができない病気です。間歇性跛行(かんけつせいはこう)といって、長距離をあるくとしびれが強くなって休むといったことを繰り返す症状が特徴的です。座っていたり、自転車などは乗っていても症状は強くなりにくいです。

病状が進行すると、足の力が落ちたり、陰部、肛門周囲の感覚障害や、尿が出しにくくなったり漏れる事もあります。

原因

加齢などによる影響で変形した椎間板と、突出した骨、肥厚した黄色靭帯などにより、脊柱管と呼ばれる神経のトンネル内を通る神経が圧迫されることによっておこります。

神経の圧迫は腰をまっすぐに伸ばして立つと強くなり、座ったり、前かがみになるとやわらぎますので、歩く時には杖をついたり、シルバーカーを押して腰を少しかがむようにすると症状がかるくなる可能性があります。

腰部脊柱管狭窄症

治療

手術ではない治療としてはリハビリテーション、神経ブロックや馬尾とよばれる神経の血行を良くする薬などがあります。

これらで症状が改善することもあります。歩行障害が進行し、日常生活に支障が出てくる場合には内視鏡などを使用して手術を行うこともあります。

腰椎椎間板ヘルニア

椎間板とは、脊椎を構成する骨と骨の間でクッションの役割を果たすものです。

柔らかいゼリーのような髄核(ずいかく)という組織と、それを包む線維輪(せんいりん)からできています。飛び出た髄核が神経を圧迫すると痛みやしびれを誘発することがあります。

椎間板ヘルニアは腰椎や頚椎、胸椎(きょうつい)にも起こることがあります。中でも多くみられる腰椎椎間板ヘルニアの場合は、脚や腰、お尻などに痛みやしびれが出て、症状が進行すると脚の筋力も落ちてしまいます。

腰椎椎間板ヘルニア

痛みが強い時期には、安静を心がけ、コルセットをつけたりします。また、鎮痛剤やしびれに対する内服や坐薬、神経ブロックを行い、痛みをやわらげます。痛みが軽くなれば、牽引を行ったり運動療法を行うこともあります。

これらの方法でよくならない場合や下肢の強い筋力低下、排尿障害があるときには手術をお勧めすることがあります。内視鏡を使った低侵襲手術が行われることが多くなってきています。

椎体骨折

骨粗鬆症をベースとして比較的低エネルギーでも起こる椎体骨折(圧迫骨折,破裂骨折)が代表的です。

椎体の前方部分の損傷を有するのが圧迫骨折で、椎体の前方部分に加え、椎体後壁損傷を有するのが破裂骨折です〔図〕。骨粗鬆症性の椎体骨折は骨粗鬆症に起因する 最も頻度の高い骨折であり、基本的には保存治療が優先されます。

ただ、保存治療がうまくいかず、骨癒合を得られない場合には疼痛が残存し、さらに後弯変形(腰曲がり)や神経症状(足のしびれなど)を呈する場合はQOL が低下することがあります。

椎体骨折

症状

骨折、もしくは骨折部より少し離れた場所での疼痛があり、体動で増悪します。明らかな受傷機転(しりもちをついたり、転んだりする)がない場合もあります。

診断

単純X線写真 2 方向に加え、陳旧性かどうか、軽微な骨折などX線写真だけではわかりにくい場合にはCT、MRIなどを追加すると診断率は向上します。

治療

椎体骨折の中では圧迫骨折はコルセットなどの装具による保存治療が優先されますが、神経症状を伴う場合や、保存加療で改善しない場合にはセメントを骨に注入するなど、手術加療も考慮されます。

腰痛

原因は様々で、代表的である骨折によるもの、脊柱管狭窄症によるもの、椎間板ヘルニアによるもの以外にも椎間関節症、仙腸関節炎、腰椎後弯症、心的要素によるものなどもあります。

通常はマッサージ療法、温熱療法、運動療法や、薬物療法(鎮痛薬、湿布薬、筋弛緩薬、ブロック注射など)を行います。

上記のような保存的治療で効果がない場合、画像診断やそれに伴ったブロック注射などによって原因をはっきりさせることができれば、手術などで治療につなげられることもあります。

頸椎症性脊髄症

脊髄は脳からつながって伸びる中枢神経であり、頚椎の骨の中(脊柱管)を通り、神経根としてもしくは腰のほうへ向かい、末梢神経となります。

頚椎の加齢性の変化による骨棘、椎間板の突出、靭帯の肥厚などで脊柱管が狭くなり、脊髄が圧迫を受けることによって手足がしびれたり、動きが悪くなることを頚椎症性脊髄症といいます〔図 〕

頸椎症性脊髄症

手足がしびれたり、手足の動きが悪くなったりしますが、脳梗塞との違いは半身だけの麻痺を起こすことはまれであり、両側に症状が出ることが多いです。重症になると首を後ろに反らすだけでも手足のしびれが強くなる場合があります。その他の 特徴的な症状として、以下のものがあります〔図〕

  • 手指巧緻性の低下:箸を使ったり、ボタンをかけたり、ペットボトル のふたを開けるような手指の作業ができにくくなります
  • 歩行障害:下肢の関節のしなやかさが失われ、足がつっぱった感じの歩き方(痙性歩行)となります。足が上がらず、つまずきやすくなったり、階段の昇降が困難になったりし、平地でもふらつくようになると杖が必要になります
  • 排尿排便障害:重症になると、尿漏れや頻尿、残尿などの排尿障害や、便秘などの排便障害を起こすこともあります
頸椎症性脊髄症

頚椎症性脊髄症の治療は手術をしない保存療法と、手術療法に大きく分けられますが、保存療法がこの病気に明確な効果があるというエビデンスはありません。
保存療法には投薬、リハビリ(牽引などの物理療法、歩行訓練などの理学療法、手指の動きの 訓練などを行う作業療法)などがあります。

頸椎症性神経根症

症状

中年~高齢の人で通常は片側で肩~腕~手の痛み、しびれが生じます。痛みは軽いものから耐えられないような痛みまで程度はそれぞれです。

上方を見ることや、あおむけで寝ることで痛みが強くなります。また、腕や手の筋力低下が起こることもあります。

原因

加齢による変化や椎間板の突出に炎症などが加わることよって、脊髄から分岐した神経(神経根)が圧迫されたり刺激されたりして起こります。

75-90%の方は3か月以内に症状が軽快する疾患です。症状が出ないように首を安静にし、場合によっては頚椎牽引や症状が強いときには鎮痛薬やしびれの薬などを使用します。一見、姿勢が悪く見えますが、パソコン作業では首をそらないように椅子を後ろに傾けた状況で行うのが望ましいです。

筋力低下がある場合や、強い痛みで仕事や日常生活が障害されている場合、経過が長引いている場合は、手術的治療を行う場合もあります。最近では内視鏡下での手術も行われています。

肩こり

症状

首すじが張った、凝った、痛いなどの感じ(肩こり)は、頭痛や吐き気を伴うことがあります。

肩こりは首の後ろから背中にかけて張っている僧帽筋という筋肉が凝って痛むことが多いですが、頚椎の神経根性の疼痛だったり、頭痛と関連することもあります。首を動かさない姿勢を長くとったり、運動不足、精神的なストレス、冷房などが悪化させる原因になります。

マッサージ療法、温熱療法、運動療法や、薬物療法(鎮痛薬、湿布薬、筋弛緩薬、ブロック注射など)を行います。

変形性膝関節症

男女比は1:4で女性に多くみられ、主な症状は膝の痛みです。

初期では立ち上がり、歩きはじめなど動作の開始時のみに痛み、休めば痛みがとれますが、進行してくると正座や階段の昇降が困難となり、末期になると、安静時にも痛みがとれず、変形が目立ち、膝が伸びにくくなり歩行が困難になります。

変形性膝関節症

原因

関節軟骨がすりへることによります。加齢や遺伝や肥満などが関与しています。また骨折、靱帯損傷、半月板損傷などの外傷後の場合に進行することもあります。
日常生活での注意点は正座をさけ、ひざを冷やさないようにします。体重の減量も効果的です。

治療

初期から中期にかけては痛み止めの内服薬や外用薬を使ったり、膝関節内にヒアルロン酸の注射などをします。また大腿四頭筋強化訓練、関節可動域改善訓練などの運動器リハビリテーションを行ったり、膝を温めたりする物理療法を行います。足底板が効果的な場合もあります。
このような治療でも治らない場合は人工関節などの手術治療もあります。

五十肩(肩関節周囲炎)

肩を左右に動かしたり、上げるときなど、いろいろな動きで痛みがでます。

肩の痛み、肩周囲の筋力低下はは頚椎からくる場合もあります。夜中に痛みが強くなり、睡眠障害の原因となることがあります。 中年以降に多くみられ、痛みの経過が長くなる場合があります。

肩関節の周囲に組織に炎症が起きることが主な原因と考えられています。自然に治ることもありますが、放置すると関節が固くなって肩の動きが悪くなることもあります。

初期の痛みが強い時期には安静を計り、鎮痛剤の内服、シップや注射などが有効です。急性期を過ぎたら、温熱療法や運動療法などのリハビリを行います。

骨粗鬆症

骨粗鬆症とは高齢の女性に多く、骨の強さが低下することによって骨折しやすくなる状態をいいます。

骨粗鬆症があることによって、軽微な外力によって骨折を起こし、動けなくなると一時的だけでなく将来的にも生活の質が下がります。

代表的な骨粗鬆症を伴う骨折として、腰椎圧迫骨折や、大腿骨頚部骨折などをおこすと、寝たきりになるリスクとなるので骨の密度を上げる治療が必要です。
診断には、DEXAという装置を用いて腰椎と大腿骨の両方の骨密度を測定します。

治療

食事、運動、薬物療法があります。

食事では、カルシウムを多く含む食材だけでなく、ビタミンを含んだバランスのとれたものを摂取することがが必要です。

運動療法に関してはウォーキングなどが骨密度の維持に有用であるとの報告があります。
薬物療法に関しては、内服薬や注射薬などいろいろな方法がありますので、適応に応じて医師との相談が必要です。当院では骨粗鬆症に対して積極的に診断、治療をおこなっています。

こむらがえり

「こむらがえり」とは、下肢の筋肉が突然収縮し、痛みを感じる症状のことを指します。

こむらがえりは、高齢者や妊婦に見られやすいという特徴の他、腰部脊柱管狭窄症に伴ったり、夜間に多く見られるという特徴もあります。一般的に、この症状は筋肉の疲労や筋肉の柔軟性の低下、運動不足や、水分やミネラルの不足、足の冷えなどが原因とされています。発生メカニズムについては、筋肉収縮の原因となる神経や血液循環の異常などが考えられています。

こむらがえりの予防法としては、適切なストレッチや筋力トレーニング、十分な水分補給、ミネラル補給(海藻類、ナッツ類、大豆製品)、適切な運動量などが考えられます。また、治療法としては、マッサージやストレッチ、温熱療法、薬物療法(漢方薬内服)などがあります。

上記の治療で効果が思わしくない下肢のこむらがえりに対しては神経ブロックによる治療の選択肢があり、これによって著名な効果が得られたという報告があります。
当院では難治例に対し、神経ブロックまで含めた治療法を提案させていただいております。

こむらがえり

概要

overview
院長
田島郁文
医師
7名(非常勤含む)
標榜科
内科・整形外科・循環器内科・皮膚科
救急医療告示病院 在宅療養支援病院
病床
70床
住所
〒377-0424 群馬県吾妻郡中之条町大字中之条町1782
電話
0279-75-3350
連携医療機関
原町赤十字病院
渋川医療センター
群馬中央病院
外丸歯科医院

診療時間

診療時間
診療時間 日祝
08:30 ~11:30
14:00 ~16:30

科目ごとに診療曜日は異なりますのでご注意ください。

※休診日:木曜日午後、土曜日午後、日曜日、祝日、年末年始